■行動すれば、現実が変わる
他人の視線が気になる、周りの人たちから陰口を言われているような気がするといった場合、人間の認知には特定の傾向があって、ひとつのことが気になりだすと意識がどんどんそのことに集中するようになるから余計に気になるものだと知れば、「つまり私はこだわりすぎなんだ」と納得することはできます。
でも、そのときはいくら納得しても、また同じような心理状態に落ち込みます。
それが自分のクセだと分かっていても、落ち込んだ状態がしばらく続いてしまいます。
この繰り返しから、いつまで経っても抜け出せない人が大勢います。
ところで自分の周囲の現実は、自分の心を反映して感じられるものです。
心が元気なときには、つまり悩みや不安がなく、楽しい計画ばかりが次々に頭に浮かんでくるようなときには、周囲も輝いて見えるものです。
心が元気を失っているときには、すべてこの逆になります。
イヤなことばかり思い浮かんでくるし、頭を振り払ってもすぐにイヤなことを考えてしまいます。
青空は忌々しいし、雨はさらに気持ちを塞ぎ込ませます。
こういう状態は、自分の心をモニターできても同じことです。
「私は今、悪い感情にとらわれているんだ」と分かっていても、どんよりした周りの現実が明るく見え出すことはないのです。
では、どうすれば現実が変化してくれるのでしょうか?
行動しかありません。
自分の心をモニターするだけでなく、悪い感情を追い払うために何をすべきか考え、それを実行に移すしかありません。
「気分が塞いでいるんだ。こういう時には歩こう。雨だって構うのか。」
自分の心や感情がどうであれ、とにかく前向きに行動することです。
行動している限り、自分は元気な人と何も違わない。
そのことに気がつけば、元気を失った心のことなんか放っておけばいいのだと納得します。(抑うつが強い場合等は、専門医師の治療が必要です。)
このように自分の認知パターンを知ることで、自分の言動を変えていくことが最新の認知心理学が重要視している「メタ認知的活動」と呼ばれるものです。
自分の心や感情を知る「メタ認知的知識」を、行動することによって自己改造にまで高めていくプロセスです。
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